Drama&Movie
   
 

 


2000.8.3 トリック Part1

 阿部寛のデビューは、雑誌NONNOのボーイフレンド大賞。 今流行りのモデルから俳優転身コースのはしりだったよね。

 けど今と違ってあの頃は、「どうせモデル出身」という雰囲気があったと思う。阿部ちゃんはハンサムだけど濃い〜マスクと長身が浮いちゃうせいか、全盛時代のトレンディドラマにはほとんど登場しなかった。同じメンズノンノ出身の風間トオルはバブリーな雰囲気が重宝がられてバンバン出てたけど。

 だから阿部ちゃんの若い頃の仕事で印象に残ってるのは、「はいからさんが通る」で南野陽子の相手役をしたのくらい。それも背が高過ぎて、ナンノちゃんが台に乗って演技したというエピソードで覚えてるだけ(笑)。

 しかしいつからか、彼は変わった。舞台に出るようになってからかな。顔つきも変わって、不思議な雰囲気が出てきた。今クールの「トリック」の阿部ちゃんは、まるでハンサムな外国の喜劇俳優を見ているようよ。

 新興宗教団体の教祖から「おまえの命はあと1週間」と言われめそめそ泣く物理学者上田次郎(阿部ちゃん)。マジシャン山田奈緒子(仲間由紀恵)に「大きいと大変ですよね」といわれてカン違いする阿部ちゃん・・いい味出してる。きっと仕事のない時代に苦労して、劇団のオーディションを受けたり努力したんだろう。本当に大きくなったねえ。

 
 でもそんな阿部ちゃんを見るにつけ、モデルから俳優になるのが当たり前という今の風潮が気になるわ。幼稚な演技を見せられる視聴者の身になってほしい。先日たーさんも言っていたけど、キリマンジャロに登っている暇があったら劇団で修行したらいいと思うよ。阿部ちゃんを見習って。んでどうせなら、タレント事務所が劇団と提携したらどうかしらん。 たとえば、ある日事務所に行くとこんな張り紙が・・

反町隆史殿 つかこうへい劇団に1年間出向を命ず K音」 

ってのはどうでしょう?(笑) 劇団は人気者のおかげでチケットが売れるし。俳優のレベルが上がって戻ってくれば視聴者はうれしい。事務所は稼ぎ頭を貸し出すのはアレだろうけど、タレントに芸がつけば、長い目で見れば長い間稼いでもらえるよん。何より本人のためになるでしょう。

 おっといかん。なんで反町の話になっちゃったんだ?(笑)
 次回こそ真面目に「トリック」にとりくみます。なんちって。

(Part2につづく)




2000.8.5 トリック Part2

 さて、「トリック」といえば堤幸彦監督。そして堤監督といえば「ケイゾク」だよね。

 「ケイゾク」後、堤監督が手がけたドラマはもちろん、ケイゾク的なものを感じさせるドラマや映像は、「ケイゾクが入ってるね」とドラマファンに話題にされてきた。んじゃ、その「ケイゾク的なもの」ってどんなもの?とりあえずあげちゃろ。

 ・顔が半分切れてる構図
 ・青っぽいフィルタがかかった画面
 ・高速で画が切り替わるタイトルバック
 ・オールロケ  

 つうても、こんなの誰でも気づいてるよね。このうち1番目や2番目は「変わってる〜」と話題になったし、3番目のせいで「目がチカチカする」という苦情がテレビ局に来たのも記憶にあたらしい(笑)。

 
 して、今回とりあげたいのは、4番目の「オールロケ」。オールロケといえば、当たり前だけどセットを使わない。セットを使わないと、狭い部屋のはじっこにギチギチになりながらカメラを構えるハメになる。しかしそれでも全部画面におさまらないので、広角レンズを使う。すると部屋に広角レンズ特有のゆがみが出て面白い画になる。え?これも気づいてたって?んじゃこのシーンはどう?



「夕べ大きな地震があったでしょ。落ちてきた蛍光灯で
頭かちわって死んだやつがおるんですよ」
「そりゃただの事故でしょう」
「それが死んだやつ
は教団から逃げてきた元信者じゃけえのう」


「シロウト考えかもしれまへんが、教団の信者全員で足を踏みならし たら
地震くらい起こせんのとちがいまっか?

「いや、それは決してシロウト考えじゃありませんよ。
それ以下です」


 これは「トリック」第1話のとあるシーン。遠くにいた人物(上)が、次の場面で手前へずいっと寄ってきてる(下)。よく見ると、上は広角レンズで、下は標準レンズ。レンズがきりかわってる上に、人物がこちらの方へ歩いてくるところはとばしてるので、よけい「いきなり近づいた」感じがして面白い。おまけに、その人物がおもろい顔の生瀬勝久なのでよりインパクトあり。大阪弁もおかしいし、それに答える阿部ちゃんがまた。

 え?そんなの見りゃわかるって?んじゃこの場面のあと、カメラはどうなるでしょう?標準のまま?また広角?それとも望遠? 答えは・・自分が監督だったらどうするか考えてみよう(笑)。とにかくドラマはちょっとした演出で面白くなるんだから、ありきたりな演出しかできないディレクターは見習ってちょんまげ、ということで。

 さて次回。そんな演出の上手い堤監督の最大の弱点といえば・・・

(Part3につづく)




2000.8.8 トリック Part3

 「堤マジック」といわれるほどの演出の名手、堤幸彦監督。
  その堤カントクの弱点は・・ひとことでいうと「」ですね。ってなんじゃそりゃ?とりあえず「ケイゾク」の例からどうぞ。

 ケイゾク第3話「盗聴された殺人」。女と共謀して女の不倫相手を殺した男。金を受け取りに女のマンションに来てみると、もぬけのカラ。真っ暗な部屋には女もいなければ家具も何もない。「ちくしょー!やりやがったな!」外で張っていた刑事たちが女の部屋へかけつけると、煌々とした明かりの中、血まみれになった女の死体が。男は叫んだ「俺じゃない!さっきは何もなかったんだ!」さて、このトリックは?

 犯人は、夫の不倫相手の女(と相棒の男)に夫を殺された主婦。女の部屋はマンションの一番奥の1号室。犯人は外廊下の一番奥の壁に本物とそっくりな壁を用意した。そして、男が来る前に女を殺し、壁を手前に動かした。2号室を一番奥の部屋と思いこんだ男はからっぽの部屋を見て飛び出す。壁を元の位置に戻し、2号室に隠れる犯人。警察がかけつけると、1号室に女の死体が・・。

 ・・さて、頭のよいみなさんは、このストーリーの穴にお気づきですね?。それについて語る前に「トリック」のほうもいっときましょう。

 
  「トリック」第1〜3話。霊能力がある教祖ビッグマザー(菅井きん)を擁する教団「母の泉」。逃げた信者はみな呪いをうけて死ぬ運命をたどった。入信したまま帰らない知人の娘を探すため、物理学者上田次郎(阿部寛)と売れないマジシャン山田奈緒子(仲間由紀恵)は教団へ。封筒の中の紙に書いてある文字を読みとるトリックをあばき、知人の娘を連れ出した二人。しかし翌日娘は密室で死んでいた。けれど奈緒子は密室殺人トリックもあばき、再び「母の泉」へ。そしてついにビッグマザーの得意技空中浮遊のトリックもあばいてしまう。観念したビッグマザーは自殺し、教団幹部も逮捕されて、めでたしめでたし。

 ・・じゃないぞ!賢明なみなさんは、もう気づいてますよね?そう、地震ですよ、地震!前回とりあげた「地震で蛍光灯が落ちて頭かちわって死んだ信者」の件はいったい何のトリックなんですか〜?なんで何の説明もないんですか〜?まさかホントに信者全員で地面を踏みならして・・(笑)

 そして、「ケイゾク」のほうの穴ですが。まずひとつめは、主婦がそんな壁をいつどうやって作れるんだよー!そしてふたつめ、なぜマンションの部屋に鍵がかかってないのかな?(^_^;)

 
 とまあこのように、たいてい何かしら「穴」があり、突っ込み出したらキリがない堤ドラマ。しかしスタッフの誰かが気づいてないはずはないと思うので、「え?地震?そういやそうだな。忘れてたよ。ははは!」とか「え?鍵?ドラマは40分しかねえしな。削っとけ。あはは!」みたいなことになっているのではないか(笑)。でなきゃ、緻密に計算された映像マジックとスポーンと抜けたストーリーのアンバランス、まさか狙ってるのか?

(おわり)




2000.8.13 愛をください

 第1回を見たときは、いちおう合格点をつけた。というのもこのドラマ、主人公に親がいない、施設で虐待をうけていたなど、不幸てんこ盛りのストーリー。とすると、この分野の大家野島伸司に、芥川賞作家辻仁成がどう差をつけるのか?に注目したいと思ったわけ。

 ところがその後、期待に反して、野島ドラマとひとつも違わない昭和40年代の少女マンガの世界(みなしご、いじめ、世間に復讐…)。違うのは、主人公遠野りりか(菅野美穂)が今風に不倫しまくることくらい。こりゃーいかんってんで日記に書こうとしたら、たーさんに先を越されちゃった(笑)。それと、ドラマの中でりりかが歌う「Zoo」。これが辻がかつてやっていたバンド「エコーズ」の歌で、ドラマの主題歌として再発売された、という話に至っては当ページのBBSで話題紛糾、怒り爆発状態(笑)。つうわけで、詳しくはたーさんのドラマ日記(8月10日)およびBBSを読んでいただくとして、ここではもうひとつ気になってることをとりあげたい。

 
 それは、函館に住む長沢基次郎(江口洋介)。自殺しようとしたりりかを助けて以来、彼女にはげましの手紙を送りつづける詩人。しかし彼は第1回に登場したきり、いっぺんもりりか達とのからみがないのだ。いくら「会わないでいよう」と誓いあったとはいえ、そこはそれ、そのうち上京して、りりかの周辺の男達と三角関係になるんじゃないか?と期待してたのに。

 基次郎があんまり登場しないので、ふと「もしや?」という疑問が湧いたなーはる。基次郎はホントは・・・実在しないんじゃないか?いや、かつては実在していたが、今はもういない人(つまり幽霊)なんじゃないか?

 そしてそう考えると納得のいく点がいくつかある。まず、ドラマが始まる前から辻仁成は「感動させます」と妙に自信たっぷりだった。それってよっぽど最終回にどんでん返しを用意してあるんじゃ?それからドラマの中で、基次郎がりりかに詩集を渡して語り合うシーン、やけにスモークがかかっていたが、あれはりりかの吐く息であたりが白くなっていたのではないか?(そりゃシックスセンス!)また、基次郎がりりかの部屋に現れるシーンで赤や黄や緑色の光の玉がとびかっていたのは、あれはたぶん・・・湾岸署特注レインボーひとだま?(そんなものはナイ!)

 しかしもしそうだとすると問題が。なぜなら、野島伸司監修の「フードファイト」でも同じ手が使われたばかりだからだ。第4回のゲストファイター桜井幸子は、かき氷をいくら食べても寒くならなかった。なぜって彼女は幽霊だから・・って、寒すぎるぞ野島!ひゅるるる〜。そんな野島と同じオチだとしたら、芥川賞作家の名前が泣くではないか。

 てなわけで、ずっとその疑問を確かめたいと思っていたのだが、先週なーはるったら爆睡して見逃しちゃったのよ。どんなストーリーだったんだろ?

 しかたないので、たーさんに私の疑問をぶつけてみたところ、「先週も先々週も見てないからわからない」という。がくっ。しかし、たーさんが言うには「でも、もし基次郎が幽霊だったら、なんで手紙が届くのよ?」だって。そ、それもそうだ。やはり私の思い過ごしだろう。まさか芥川賞作家が「あの世からの手紙」なんて陳腐なストーリーで人さまを感動させるわけないわな。はは。それにしてもたーさん、ドラマを見ずにドラマ日記を書いたとは、なんてやつ(そういう私も)。




2000.8.21 Summer Snow

 このドラマを見ると、表現することの難しさをしみじみ感じる。

 それは何かっていうと、ユキ(広末涼子)である。ユキは心臓が悪く、あまり走ったりできない。見た目にはよくわからないが病気持ちなのだ。そして、そのことを視聴者にさりげなくわからせるために、ヒロスエはある表現方法を駆使していた。それは、顔に前髪をだらんとかからせて、顔を半分隠すというワザ。ゲゲゲの鬼太郎状態である。

 でも考えてほしい。なぜ髪の毛で顔を半分隠すと「病気」なのだろうか?これは「マンガ」のお約束ごとじゃないか。ギャグ漫画に出てくる病人はたいてい、顔に髪がかかってゲホゲホとやっている。マンガで育った世代はみなこの符号が刷りこまれているため、ヒロスエの顔に髪がかかっているのを見て、何の疑いもなく「ああ具合が悪いのね」と思ってしまうのだ。もしマンガを読まないうちの母がヒロスエを見たら「うっとおしいわね。ピンでとめりゃいいのに」としか言わないだろう。ヒロスエの前髪だらんに疑問をもたなかったそこのあなた、はっきりいってマンガ文化に毒されてます(笑)

 
 しかし、この「前髪だらん顔半分隠しワザ」も肝心の夏生(堂本剛)には通じなかった。第5話でぶったおれるまで病気に全然気がついてもらえなかったのだ。それもそのはず。やっぱ前髪だらんだけじゃ表現がたりないもん。

 マンガに出てくる病人をもう一度思い浮かべてほしい。髪の毛で顔を半分隠し、ゲホゲホと咳をして、額にタテ線・・・つまりヒロスエのおでこにマジックでタテ線を5、6本描いておけば、察しの悪い堂本でも、彼女が具合が悪いということにもっと早く気づいたはずなのだ。けれど折しも季節は夏。「あれ?ユキちゃん、お化け大会に出るの?」などと堂本が言いだす可能性も否定できない。表現をするということはほんとうに難しい・・(゚▽。)☆\バキ!

 
 ところで、近頃はこの前髪だらん状態もあまり出なくなっている。もう心臓が悪いことがわかっちゃったから用が済んだのか。と思ったら、そうではないらしい。

 先週ヒロスエの父が堂本に言ったセリフ「君と知り合ってから娘は変わった。すっかり明るくなった」から察すると、どうやらあの前髪だらんには「性格が暗い」という意味もこめられていたみたいなの。そして最近前髪を微妙にカットしたのは、「明るくなった」ことを表したいためらしい。なんて安易な。でも本気で性格が暗いことをいいたかったのなら、前髪だらん&額にタテ線に加えて「柱の影から顔を半分のぞかせる」とかの表現も組み合わせといてくれないと。 ヒロスエの演技力だけじゃよくわかりませんの。

 
 それにしても、「髪型ひとつで性格の明暗から病気まで表現する」なんて、ここだけ読むとなにやら優秀な役者のように聞こえるのがなんか腑に落ちない。が、ようするにこのドラマの結末は、最終回までにヒロスエの前髪がどれだけのびるかにかかっているわけだあね。


   
 

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